まりふのひと

デザイン封筒に宛名書きする


 「百円ショップで買ってきたデザイン封筒(予め印刷してある封筒)に印刷したい」という要望があった。



「デザイン封筒に印刷した方が簡単」と思うのは大きな間違いである。確かに、
印刷に要する時間が短い」「印刷に使うインクが少ない
のは事実であるがそれは出来た後の話。
無地の封筒に印刷するのに比べ、
開発に莫大な時間と費用(テスト印刷)が掛かる。
にもかかわらず、比較的短命であることも覚悟すべきである。

 この手順は、WindowsXP上でWord2003で作成しました。なお、ポイントのみとし、詳しい手順は載せていません。

印刷条件

  1. 名前: これは差し込み印刷する。
  2. 金額: 固定とする。
    • これまで差し込み印刷にすると、開発の手間が大変。人で異なる場合は、複数の文書を用意することで対応する。
  3. Wordの「表」で作成し、表の罫線は「枠なし」にする。
  4. 糊付け部分は折って印刷する。
    • 折らないと印刷時に封筒が引っかかる恐れがある。

測ることから始まる

  1. 用紙サイズ ‥‥ 119mm×197mm(角形8号)
  2. 名前のフォントサイズ ‥‥ 26pt.
     印刷済みの“殿”の高さは 8mm。26pt.と推定される。最終的には印刷してみて調整するしかない。
    下記は換算値。印刷される大きさはこれより一回り小さい。一回りがどの程度か‥‥ は、フォントを作った人に聞くしかない。
    • 22pt.=22×25.4÷72…7.8mm
    • 24pt.=24×25.4÷72…8.4mm
    • 26pt.=26×25.4÷72…9.2mm
    • 28pt.=28×25.4÷72…9.9mm
  3. 上余白 ‥‥ 12mm
    • “殿”の下線から表の上の線までの高さ ‥‥ 24mm
    • フォントサイズ 26pt.時の段落高さ ‥‥ 12mm (実際に印刷して測る)
    • この差が上余白となる。最終的には印刷して調整する。
  4. その他の余白
    • 下余白 ‥‥ 30mm
      • 計算上では39mmとなるが、Wordの表の下には空白行が出来るのでこれを考慮する。
    • 左余白 ‥‥ 11.5mm
      • Wordの線は印刷の線より細いので、縦線の内側までの幅とする。
    • 右余白 ‥‥ 10mm
      • 実際には11.5mmであるが、次の「列の幅」を設定すれば、自動的に11.5mmになるはず。そこでチョッと小さめにしておく。
  5. 表までの距離 ‥‥ 46mm
    • 領収印の行 ‥‥ 8mm
    • 月ごとの行 ‥‥ 26mm
    • *月分の列幅 ‥‥ 8mm
    • 印の列幅 ‥‥ 24mm

ページ設定

  1. 用紙サイズ
    • [サイズを指定]を選択し、幅:119mm, 高さ:197mm とする。
  2. 余白
    • 上記の値とする。
  3. 文字数と行数の指定
    • 「標準の文字数を使う」を指定する。

文書を作る

1)表を作る

 名前も金額も位置合わせが必要です。そこで、表を分けることにします。

  1. 1行×1列の表を挿入する。
  2. 空の行を1行追加する。(合計2行となる)
  3. 最後の行にカーソルを移し、
  4. 5行×6列の表を挿入する。

  5. 2表とも、左側の線を左余白に合わせる。
  6. 上の表のプロパティ
    • [表]タブ ⇒[オプション]で、「セル内の配置」を全てゼロにする。
      • 一旦、[OK]で閉じる。
         セル内の配置の値を変えると左余白と左端の罫線がズレるので、再度、合わせる。
    • [行]タブで、「高さを指定する」,32mm の「固定値]
    • [列」タブで、「幅を指定する」,96mm
  7. 上の表と下の表の間の行
    • [書式]⇒[段落]⇒[インデントと行間隔]タブ
      1. 「間隔」の、行間を[固定値]とし、間隔を“2mm”とする。
      2. 一旦、[OK]とし、再度開くと、5.65pt.になっている。(たぶん)
         5.65×25.4÷72=1.993mm
  8. 下の表のプロパティ
    • [表]タブ ⇒[オプション]で、「セル内の配置」を全て 0.5mm にする。
       全て 0mm にすると、線とくっついて見難いためで、適当に調節する。
      • 一旦、[OK]で閉じる。
         セル内の配置の値を変えると左余白と左端の罫線がズレるので、再度、合わせる。
    • [行]タブで「高さを指定する」
      • 行1: 8mm, 高さ: 固定値
      • 行2〜行5: 26mm, 高さ: 固定値
    • [列]タブで「幅を指定する」
      • 列1: 8mm, 基準値[ミリメートル(mm)]、以下、同じ。
      • 列2: 24m
      • 列3: 8mm
      • 列4: 24mm
      • 列5: 8mm
      • 列6: 24mm
    • きれいな値を指定しても、端数が付くことがあります。目で見て判らない範囲(例えば、0.1mm)であれば無視します。
2)文字の入力
  • 上の表
    1. 一番長い名前(例えば“佐々木小次郎”)を入力する。
    2. フォント: MSP明朝, フォントサイズ: 26pt.
    3. [右揃え」とする。
    4. [書式]⇒[段落]⇒[インデントと行間隔]タブで、「右のインデント幅」を“28mm”にする。
      • 表の右端から、“殿”の1mm程度前まで。
  • 下の表 ‥‥ 右図の例です。
    1. [Enter]を押下し、空の段落(行)を作成する。
    2. “受講料”,[Ctrl]+[Tab],“3,000円”と入力する。(“3,000”は半角文字)
    3. 入力した文字を選択し、
    4. [書式]⇒[フォント]⇒[文字幅と間隔]タブの「倍率」を[90%]にして[OK]。
    5. [書式]⇒[タブとリーダー]で、
       タブ位置に“22mm”,「右揃え」を選択し、[OK]。
    6. [書式]⇒[段落]⇒[体裁]タブの、「日本語と英字の間隔を自動調整する倍率」「日本語と数字の間隔を自動調整する」のチェックを外して[OK]。
    7. 次の段落に、“維持費”,[Ctrl]+[Tab],“1,500円”を入力する。
    8. 他のセルには、このセルをコピペする。
       セルの選択は、
      1. 選択するセル内の任意の位置をクリックする。
      2. [罫線]メニュー ⇒[選択]⇒[セル]をクリックする。

差し込み印刷の設定

 名前の一覧表(データファイル)は作ってあるものとします。

  1. 差し込み印刷ツールバーを表示します。
  2. 差し込み印刷ツールバー(以下、表示を省略)の[データソースを開く]をクリックし、
  3. 【データファイルの選択】ダイアログボックスで、データファイルを[開く]。
  4. 【表の選択】ダイアログボックスで、シートを選択して[OK]。
  5. 名前(ここでは“佐々木小次郎”)を選択し、
  6. 差し込み印刷フィールドの挿入]をクリックする。
  7. 【差し込みフィールドの挿入】ダイアログボックスの「名前」フィールドを選択し、[挿入]⇒[閉じる]をクリックする。
  8. [差し込んだデータの表示]をオンにし、レコードを送って確認する。
  9. 文書を保存する。

封筒への印刷

  1. [新規文書への差し込み]をクリックし、
  2. 【新規文書への差し込み】ダイアログボックスで、印刷するレコードを指定し[OK]。
  3. 「レター*」文書が出来るので、プレビューで確認後、印刷する。
  4. 印刷が終わったら、「レター*」文書は破棄する。(任意)

サンプルデータ

  • SampleData.zip ‥‥ 圧縮(zip形式)フォルダ
     【デザイン封筒に宛名書きする】フォルダに、次のファイルが入っています。
    • 1_段落の高さ.doc
      • フォントサイズ別に段落の高さを調べたWord文書。
    • 2_書式設定.doc
      • デザイン後のWord文書。
    • 3_差し込み後.doc
    • 4_フォントサイズと段落高さの関係.xls
      • フォントサイズと段落高さの回帰式を求めたエクセルブック。
    • 5_閣僚名簿_H1611.xls
      • 差し込み用のサンプルデータファイル