これは、中国新聞8月19日の天風録。
八月、四国の剣山は登山客でにぎわう。お目当ての一つが、キレンゲショウマ。釣り鐘状の黄色い花が、うつむくように咲く。宮尾登美子さんの小説「天涯の花」で一躍有名になった。
環境省レッドデータブックの絶滅危惧(きぐ)種。このキレンゲショウマの群生地が西中国山地にもある。広島県北広島町で芸北写真塾を主宰する紺野昇さんがブログ(日記風サイト)「山に暮らせば」で紹介。本紙ふれあい面にも掲載された。
もちろん自生地は秘密。ところが、このブログに「希少種はメディアに紹介すべきでない」「盗掘に拍車をかけているのと一緒」といった批判メールが相次いだ。厳しい個人攻撃の様相まで。擁護のメールも絡んで、けんけんごうごう。「ブログ炎上」寸前で、何とか収まった。
今年二月、経済産業省の谷みどり消費経済部長は、新たな制度を説明しようと実名でブログを開設した。ところが、匿名で反対意見の集中砲火を浴びる。「死してわびろ」といった誹謗(ひぼう)中傷も。三週間でブログを閉鎖した。
面と向かって話をすれば穏やかに済むことが、匿名のサイトになると言葉が過激になりがちである。出会い系サイトの犯罪が問題になるなど、ネット社会の危うさは増すばかりだ。
この世界にも「十戒」があるのをネットで見つけた。その一。「汝(なんじ)、他人を傷つけるためにコンピューターを使うことなかれ」。その九。「汝、自分の作成するプログラムの社会的結果を考えるべし」。自戒を。
「十戒」とは、コンピュータ倫理に対する「十戒」と思われる。
- 汝(なんじ)、他人を傷つけるためにコンピュータを使うことなかれ。
- 汝、他人のコンピュータの仕事に干渉することなかれ。
- 汝、他人のファイルをのぞき見ることなかれ。
- 汝、盗むためにコンピュータを使うことなかれ。
- 汝、嘘の証言をするためにコンピュータを使うことなかれ。
- 汝、金を払っていないソフトを使ったり複製することなかれ。
- 汝、許可なしに他人のコンピュータの資源を使うことなかれ。
- 汝、他人の知的産物を横領することなかれ。
- 汝、自分の作成するプログラムの社会的結果を考えるべし。
- 汝、思いやりと敬意を示すようコンピュータを用いるべし。
肝に銘じておこう。